3月28日に閣議決定された政府答弁書で、クルド人による詐欺的な難民申請の実態が明らかになりました。農繁期と農閑期で3.5倍もの差がありました。
松原仁先生が質問主意書でトルコ国籍(ほとんどクルド人)の月別の難民申請者数を出すよう求めたところ、政府は令和4年から6年について1月547人、2月587人、3月653人、4月359人、5月274人、6月255人、7月233人、8月211人、9月185人、10月203人、11月236人、12月331人と答弁しました。
3月の653人と9月の185人では3.53倍違います。それ以外の月の数値をみても、農繁期と農閑期の差は歴然としています。申請者が多い時期は、農繁期が終わって来日し、ビザ免除措置による90日間の滞在期限が終わる頃と一致します。これは産経新聞取材班『国会議員に読ませたい「移民」と日本人』(産経新聞出版、2025)に出ている、入管関係者の次のコメントを裏付けるものです:
「彼らは夏前になると『問題が解決した』と言って難民申請を取り下げ帰国していく。秋になると同じ人物が来日し、『また問題が起きた』といって難民申請する。かつての東北地方からの出稼ぎのように、農閑期に合わせた就労目的と考えられる」
「彼らは夏前になると『問題が解決した』と言って難民申請を取り下げ帰国していく。秋になると同じ人物が来日し、『また問題が起きた』といって難民申請する。かつての東北地方からの出稼ぎのように、農閑期に合わせた就労目的と考えられる」
そして、難民と認定された人もほとんどいません。松原先生の質問に対して政府は、平成16年から平成30年まで6,759人のトルコ国籍者が難民認定申請をし、認定はゼロだったと明らかにしました。つまり100%難民でなかったということです。その後数人認定されましたが、それでも99.9%(スリーナイン)の純度で虚偽です。
国はインチキ申請と分かっていても受理し、約400人いる難民調査官が多大な労力を費やして審査しなければなりません。難民調査官が味わう虚しさや精神的疲労感は想像を絶するものがあります。
元難民審査参与員の柳瀬房子氏(「難民を助ける会」名誉会長)は、衆議院法務委員会で令和3年4月21日に行った証言で、「入管が行う一次の審査においてですが、調査官は、申請書を、それぞれに時間をかけて、しっかりと話を聞き、その膨大な内容を調査しています。数日にわたり話を聞いている案件も少なからずありますし、また、インタビューをするためには通訳の方が必要です。そのインタビューをした調書を通訳の方を介して申請人に読み聞かせ、内容に間違いないかを確認してもらって、サインをもらっています。時間と費用をかけた丁寧な審査という印象を持っております」と述べています。
そして、「私どもの参与員による審査ですが、改めて、第三者として、申請者の意見を聞き、徹底的に聞き直します。しかし、実際には、入管が認定しなかった申請者の中から、新たに難民だと思える人はほとんど出会えないのが実態です」と明らかにしました。その実態ですが、一次審と全く違った主張を繰り返したり、コピペのように他人と同じ主張をしたり、簡単な事実関係さえ答えられなかったり、不倫相手の夫や妻に狙われている(むろん条約上の迫害にあたらない)という者までいたり、酷いものです。柳瀬氏は、「こういう主張をすれば認定されるはずだという、ブローカーの誤解が申請者の間に出回っていることだと思わざるを得ません」と述べていますが、その通りでしょう。
柳瀬氏と同じく「難民を助ける会」で活動していた吹浦忠正氏も、難民審査参与員を経験し、同様のことを述べています:
「要するに、それぞれの国にブローカーがいて、渡航費用の調達、出国手続き、日本の空港での出迎え、当面の宿舎や就職の斡旋、入管での難民申請の仕方、弁護士や支援団体からのサポートの受け方、不法滞在で捕まった場合の対応まで指南する。かなりの数の申請者がブローカーを使っているというのが実情だ」
「要するに、それぞれの国にブローカーがいて、渡航費用の調達、出国手続き、日本の空港での出迎え、当面の宿舎や就職の斡旋、入管での難民申請の仕方、弁護士や支援団体からのサポートの受け方、不法滞在で捕まった場合の対応まで指南する。かなりの数の申請者がブローカーを使っているというのが実情だ」


実は私自身も、僅かですが、アフガニスタンやパキスタン部族自治区で難民救援に関わったことがあり、真に迫害を受けている人には同情的です。また、我が国が現在ウイグル人やチベット人を守っていることや、かつて日本人志士が孫文を匿った歴史に誇りを感じています。だからこそ、詐欺的な難民申請に対しては断固対処すべきと思います。現状を放置していては、真に迫害されている人を見落としかねませんし、世論も厳しいものとなってしまいます。
具体的には、松原先生が主張するように、トルコへのビザ免除措置を一時停止すべきです。難民申請するクルド人はビザ免除を悪用して日本にやってくるわけですから、入口を閉じてしまえば解決です。かつてイラン人による麻薬や偽造テレカ密売が問題になっていましたが、ビザ免除停止で一掃されました。ほかにもパキスタンやバングラデシュへのビザ免除を一時停止した前例があり、十分に実現可能です。政府は決断すべきです。

花になり実になるみれば草も木も
なべてつとめのある世なりけり
(明治天皇御製)