11月にイスラエルを訪問してきました。大手メディアの人と一緒だったので、政府高官や人質家族、人質救出活動団体などから話を聞くことができ、様々な真実が見えてきました。X(@JapanLobby)で情報を共有しています。よろしければご覧ください。

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個人的にもっとも印象に残ったのは、ユダヤ教最高の聖地であるエルサレム「嘆きの壁」訪問です。本当に魂が震えるような感動体験でした。

今から3000年近く前にユダヤ人の王・ソロモンがエルサレムに神殿を建て、その後2500年前に第二神殿が建てられたのですが、2000年前にユダヤ人の王国がローマ帝国に滅ぼされると破壊されました。ユダヤ人は全世界に散らばり、神殿の一部だった嘆きの壁(現地では「西側の壁」the Western Wall)を心の支えに、「来年はエルサレムで会おう」と挨拶しながら1900年間各地で迫害に耐えてきました。そしてホロコーストを生き残った人たちが着の身着のままでイスラエルにたどり着くと、国連決議に基づいてユダヤ人の国を再建し、やがて民族の聖地・嘆きの壁を取り戻したのです。

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私は子供のころからユダヤ人の苦難の物語を聞いてきました。まだ第三次、第四次中東戦争から間もない頃で、イスラエルが全方向から圧倒的多数の敵に攻撃されるなか、必死で生き残っていることをニュースで見聞きしていました。成長してからはイスラエル関係の本や映画に触れ、ユダヤ人の再生の物語こそ、日本民族が生き残る上でもっとも学ぶべきものと確信するに至りました。

最初にユダヤ人・イスラエルに心惹かれたのは、日本人の血からくる判官贔屓もあったかも知れません。しかし大人になって知ったのは、私たち日本人が日露戦争のときギリギリ生き残ることができたのは、ユダヤ人銀行家ジェイコブ・シフが不利を承知で巨額の外貨を調達してくれたからという事実です。日露戦争は「勝利」でなく、どうにか滅亡せずに済んだだけの辛勝です。あのとき活躍した全ての人が、一人でも欠けていたなら、私たちは今ここにいません。その一人がユダヤ人社会のリーダーだった事実は、たいへん重いものがあります。

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嘆きの壁に着いたのは、夕暮れ後でした。周りは正装した超正統派ユダヤ教徒ばかりです。壁に頭をつけて祈ると、二千年の間に蓄積された人々の思いが気流のように体に流れ込んでくる気がしました。その日は全く眠れませんでした。ところが翌日、非常に元気だったのは不思議なものです。

それにしても凄いと、あらためて思いました。世界中で無数の民族が消滅していき、ユダヤ人を迫害した過去のすべての帝国が滅亡していったなか、もっとも苦しい思いをしたユダヤ人だけが生き残って、1900年かけてこの壁を取り戻したのです。

翻って、日本民族は生き残れるか? もしも日本が中国に占領され、伊勢神宮を破壊された場合、私たちの子孫は日本人としてのアイデンティティを保って1900年かけて伊勢神宮跡を取り戻せるか? なかなか厳しいものがあると言わざるを得ません。

ユダヤ人の精神と、イスラエル建国以来の戦いに学びながら、日本の独立を守るため何ができるか考えていきたいものです。一度祖国を失うと、まず取り返せないのが現実です。



Emperor Meiji uniform
國をおもふみちにふたつはなかりけり
軍の場にたつもたたぬも
(明治天皇御製)