松原先生は、RCCによる朝鮮総連からの債権回収が令和3年度はゼロ円だったことを指摘した上で、次のように述べました:
「朝鮮総連に対しては次のステップに移るべきだと私は考えてます。北朝鮮は自分たちが甘く見ている相手に対しては決して譲歩などしません。朝鮮総連には徹底したさらなる制裁が必要です。
日本政府の北朝鮮に対する制裁を最上級のものだ、と考えている国民は多いと思います。ですが私にはまだまだやれることがあると思う。日本の制裁は、アメリカと比べものにならないと言わざるをえないからです。例えば外国の港で北朝鮮船舶を差し押さえして売り払う。そうしたこともアメリカはやっています。北朝鮮に協力した外国人を国際指名手配して、情報提供に巨額の報奨金を出す。金正恩が米国に保有する個人資産なども凍結している。こうしたことは日本ではまだ実現していません。私は、金正恩を日本独自制裁の対象に指定せよと、ずっと主張してきました。『やるぞやるぞ』という脅しだけでも圧力になる。制裁したのちは『拉致被害者を返すなら解除してやってもいい』という交渉カードにもなるわけですし、『日本はやるべきことをやっていない』と北朝鮮にみられているうちは『日本は本気で怒ってはいない』と捉えるだろう」
★効果は米政府のお墨付き
松原先生が述べたように、米国は2016年7月6日、人権侵害を理由として金正恩を大統領令第13722号に基づく制裁対象に追加しています。下記は米財務省プレスリリースです。
国務省のジョン・カービー報道官(当時)はこの措置について、「もし座ったまま何も言わず何もしなければ、彼(金正恩)に完全に誤ったメッセージを送り、自国民に対し行っている邪悪な行為を続けるよう奨励する結果を生みかねない」と報道陣に述べました。
またロバート・キング北朝鮮人権問題担当特使は同年10月、韓国の中央日報のインタビューに「我々は他の国々もこうした措置を取ることを望む」と求めています。
その効果は、米政府のお墨付きです。拉致被害者救出のための強力な武器となります。カービー報道官は米国の措置について「単に象徴的なものでない」としたうえで、「この措置で、他の国々や機関は北朝鮮との関係を見直すはずだ。それによって、率直に言って、制裁対象者に全世界的な経済効果が生じるだろう」「結果として、実際の経済的損失が発生するだろう」と述べました。キング特使は、北朝鮮国民に「政権と指導部の尊厳に疑問を持たせる効果がある」と強調しています。
北朝鮮が次の核実験を行ったあと、米国は再び同盟国に対して、金正恩への制裁を求めるはずです。安保理決議による制裁強化は望めないので、なおさら独自制裁強化を強く求めてくると思います。我が国は独立国ですので、「アメリカに言われたから」ではなく、独自の戦略として、対北朝鮮制裁を徹底強化していくべきです。
具体策は金正恩制裁以外にも多数あります。
具体策は金正恩制裁以外にも多数あります。
◆ 朝鮮総連への破産申立て
◆ 安保理で金正恩の人道犯罪責任を正式討論
◆ 高麗航空制裁
◆ 朝鮮総連中央委員約350人(7月21日の会議で減少)・専従職員への再入国禁止措置
◆ 大手都銀への総連関係者取引停止指導(米制裁を理由に)
◆ 朝鮮総連関係者を強制送還(安保理決議に基づく)
◆ 朝鮮大学校認可取消(安保理決議を理由に)
◆ 対北朝鮮国連総会決議の提出国(起案国)に復帰して内容厳格化
◆ 北朝鮮と取引する中国企業への制裁
◆ 金正恩の東京ディズニーランド絶叫写真(91年5月来日時)をリーク
◆ 金正恩の血の秘密(外祖父は日本軍協力者・解説)を宣伝
家族会の飯塚耕一郎事務局長は昨年6月8日に開かれた参議院拉致問題特別委員会で、
「本当にこれ以上何もカードがないのかというのを議論する必要があります。カードがないなら、更なるカードをつくるべき」
「北朝鮮との交渉に圧力は必ずあるべきです」
と求めました。
交渉カードをつくって、はじめて本当の交渉がはじまります。交渉カードのない交渉は、単なる時間の浪費です。
さて、ここで皆様にお願いがあります。ほんの少しだけお時間をください。首相官邸にメールを送って、「拉致被害者救出のため、朝鮮総連破産・金正恩独自制裁などで交渉カードをつくってください」と求めていただきたいのです。
7月の金正恩・ロシア国防相会談のニュースで、日本の「人道支援」が交渉カードにならなくなったことは、もはや誰の目にも明らかです。北朝鮮は食糧危機を脱したのです。武器や弾薬をロシアに送れば、小麦粉などいくら貰えます。わざわざ岸田総理に頭を下げて、拉致問題で妥協してまで、日本にコメ支援を乞う状況ではないのです。
拉致被害者を救出するには制裁、制裁また制裁。基本に戻るべきです。

万代の国のしづめと大空に
あふぐは富士のたかねなりけり
(明治天皇御製)