「いくらなんでもそれはないだろ!」と叫びたくなりました。

政府は昨年12月16日、日本企業がサプライチェーンで強制労働を発見した場合に「直ちにビジネス上の関係を停止するのではなく」「取引停止は、最後の手段として検討」すべきとする、極めて問題のある答弁書を閣議決定しました。起案は経済産業省です。
松原仁先生が、政府は強制労働の疑いがある場合に取引停止を指導せよと求めた「ウイグル人強制労働に関する再質問主意書」への答弁になります。

1月19日に私のほうで「百田尚樹・有本香のニュース生放送 あさ8時!」に出演して、問題を解説する機会をいただきました。ご覧ください。


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答弁書は本当に呆れ果てる内容です。国内で考えると分かりやすいと思います。昭和の頃、暴力団が労務者を監禁して暴力的に働かせる「タコ部屋」がありました。平成になっても山梨県のタコ部屋で、暴力団組長らが労務者3人を殺害して埋めた上、保険金を横領する事件がありました。もしも政府が大手建設会社に、孫請けが暴力団タコ部屋だと分かっても「直ちに関係を停止するのではなく」と指導したとしたら、たいへんな騒ぎになるのではないでしょうか?

ウイグル強制収容所の規模や惨状は、山梨のタコ部屋と比較にもなりません。アメリカ政府はウイグル人に対するジェノサイド・人道に対する罪を公式認定し、国連人権高等弁務官事務所は人道に対する罪を構成する可能性があると述べています。

直ちに関係を停止させない理由として政府ガイドラインは、「相手企業の経営状況が悪化して従業員の雇用が失われる可能性があったりするなど」と書いていますが、不見識極まりありません。

いまウイグルで何の罪もない人が監禁され、強制労働させられています。日本企業の注文を無くして、監禁を赤字にすることで釈放を促すべきなのは言うまでもありません。たとえ釈放まで至らなくても、強制労働がなくなれば被害者は助かります。重大な犯罪を行っている看守の雇用は、失われるべきです。なによりも、日本企業が強制労働で収益を上げるなど絶対にあってはならないことです。人道犯罪の共犯になるなど、全く考えられないことです。

アメリカ上院財政委員会は昨年12月22日、トヨタ自動車やホンダなどにウイグル強制労働に関する質問状を送付しました。経済産業省は、いま自由世界でウイグル強制労働を利用することがどれだけ重大か、正しく認識すべきです。あまりの見識のなさに戦慄を覚えました。松原仁先生のさらなる追及に期待したいと思います。


Emperor Meiji uniform
梓弓やしまのほかも波風の
しづかなる世をわれいのるかな
(明治天皇御製)