中国が怖いのか公明党に配慮しているのか知りませんが、政府はウイグルで起きているジェノサイド・人道に対する罪から目を背けようとしています

日本人にとって本当に恐ろしい事態です。将来私たちは、大虐殺を見て見ぬフリして金儲けに専念し、中国共産党を幇助した卑劣な共犯者として、歴史に汚名を残す可能性があります。責任の一端は日本人にあると糾弾され、賠償を求められる恐れもあります。政府の大局観のなさには本当に呆れます。ナチスドイツの協力者たちが第二次世界大戦終結後どうなったか考えれば、沈黙がどれほど危険かすぐ分かるはずです。

松原仁先生は10月に「ウイグル人強制労働に関する質問主意書」を提出し、「政府はいかなる実効性ある施策を講じたか」と質しました。
10月28日に閣議決定された政府答弁書は情けない内容でした。アメリカ、EU、イギリス、オーストラリア、カナダが強制労働に加担しないよう次々と法律を制定するなか、日本はガイドラインを策定しただけというのです。

策定された「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」を読んで、落胆が深まりました。
24ページ(PDFの27ページ)に、自社製品の生産過程等で国家等の関与の下での人権侵害が疑われる場合の対応について書かれていますが、「取引停止も検討する必要がある」としか求めていません。次の文章です。

「国家等の関与により関係者からの協力が得られず、その実態を確認できない、あるいは、実態が確認できた場合であっても国家等の介入があるため企業の力では人権への負の影響を防止・軽減できないといった場合には、取引停止も検討する必要がある」

「検討する必要」だけでは全然足りません。欧米で日本人の人権意識に重大な疑念をいだかれる恐れがあります。例えば日本国内で、暴力団が人を誘拐して工場で無理やり働かせるとともに、被害者をレイプ・殺害していたらどうでしょう? 役所の注意喚起は、「取引停止も検討する必要がある」程度で適切でしょうか?

これは、国際社会で大問題になっているウイグル人強制労働が該当する部分です。ウイグルの問題があるから、このガイドラインができたのです。ハッキリと「強制労働などの極めて重大な人権侵害が疑われる場合は、ただちに取引を停止せよ」と書かないといけません。強制労働は断じて許されない、日本企業は絶対に関わってはならないという我が国の姿勢を、明確に示す必要があります。

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★人権を否定する国にはODAを出すな!

10月18日付の拙ブログで解説したとおり、国連人権理事会でウイグル人権状況への討論を求めた米欧の提案に19ヶ国が反対票を投じて否決させました。
本ブログ2022年10月18日付記事

これは本当にムチャクチャな話です。国連人権理事会の存在意義、そして人権という価値すら否定したものといっても過言ではありません。
提案は、国連人権高等弁務官事務所の報告書で明らかになったウイグルの人権状況について、討論を求めただけでした。中国政府による「人道に対する罪」を認定するような強い内容ではありません。実際に、提案を主導したアメリカのミシェル・テイラー大使は、「中国は自らの見解を記録させることができる」と述べています。
国連人権理事会を設立した2006年の国連総会決議は、目的を「人権侵害に取り組む」と定めました。人権侵害に取り組むのが人権理事会です。その人権理事会で、ウイグル人権状況を討論してはならないという反対は、存在を根底から否定したものです。我が国や自由陣営とは根本的に相容れない考え方です。

反対した国々は、国連人権高等弁務官事務所HPによれば次のとおりです。我が国から巨額のODAを得てきた国が多数含まれていて、過去累計で1兆円を超える国が3ヶ国入っています。

ボリビア、カメルーン、中国、コートジボワール、キューバ、エリトリア、ガボン、インドネシア、カザフスタン、モーリタニア、ナミビア、ネパール、パキスタン、カタール、セネガル、スーダン、UAE、ウズベキスタン、ベネズエラ。

人権を否定する国、そこまでして中国様にすり寄る国に、私たち日本人の血税を投入すべきでしょうか?

私はそうは思いません。十分に警告しても改善がないなら、ODAを停止すべきです。我が国は今後、中国のせいで巨額の防衛費を負担しないといけないのです。中国の衛星国にくれてやる金などありません。外務省は反対した国々の大使を呼び出して通告すべきです。



Emperor Meiji uniform
おもふことなしをへぬまにあらたまの
年はくれにもなりにけるかな
(明治天皇御製)