★ せっかくのチャンスだったのに! 

松原仁先生が内閣に質問主意書を提出して北京冬季五輪の外交的ボイコット(選手は参加するが政府代表は式典に一切参列しない)を迫りましたが、19日に閣議決定された政府答弁は落胆する内容でした。「現時点では何ら決まっていない」で終わり。

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「なんともったいないことを」と思いました。外交的ボイコットについてバイデン大統領は「検討する」と発言していますが、実際にはすでに決まっています。ワシントン・ポスト紙が16日に報道したとおりです。

松原先生が質問主意書で触れたように、イギリスのドミニク・ラーブ外相は7月の時点で「出席する可能性は非常に低い」と発言しています。ブリンケン国務長官は6月の下院外交委員会公聴会で「同盟国などと協議している」と述べましたが、要は5ヶ月も前から水面下で同調を働きかけている段階なのです。

日本はアメリカの外交的ボイコットに必ず追随することになります。日本だけ出席して習近平に褒められるという選択肢は存在しません。確実に五輪開会式・閉会式出席を拒否することになります。

どうせやるなら、早い段階で意思表明したほうが利口に決まっています。欧米メディアで大きく報道され、日本が人権を重視する自由世界の一員であることを強くアピールできます。バイデン政権との信頼関係も深くなります。そして岸田総理は優柔不断のイメージを払拭することができます。

外交的ボイコットを断固宣言することは、日本の安全を守るうえでも有効な方策でした。中国にとって最大の関心事の一つは、「尖閣を電撃占領したら、岸田政権は断固反撃してくるか、それとも遺憾砲で終わりか」です。日本が武力で奪還にくると判断すれば、中国は決して手を出しません。逆に、遺憾砲で終わりと判断すれば必ず占領します。中国は自衛隊最高指揮官の意志の強さをみているのであり、外交的ボイコットは「必ず反撃する」と思わせるチャンスでした。全部フイになってしまいました。

国際人権問題担当の首相補佐官に就任した中谷元氏にも落胆しました。15日夜のBS日テレの番組で、中国高官に制裁を科す法律の制定について「簡単にいかない」と慎重姿勢を示し、「一方的に価値観を押し付けて制裁するやり方も一つだが、寄り添って問題を解決する役割を日本は期待されている。紛争を助長したり、事を荒立てたりするのがすべてではない」と述べました。

トンでもない問題発言だと思います。中国はジェノサイド・人道に対する罪を現に行っているのです。それに対して米英EUは制裁を科しています。首相補佐官による「一方的に価値観を押し付けて」発言は、日本が中国側に立って欧米を非難したと受け取られる恐れがあります。

そもそも日本の常識からしてもムチャクチャです。たとえば通り魔が刃物で人を刺している現場に出くわして命懸けで取り押さえたら、中谷氏は「人命尊重の価値観を一方的に押し付けて」と批判するのでしょうか? 中国で行われている人道犯罪は、通り魔と比べものにならないほど規模が大きいものです。ヒトラーやスターリンのレベルです。

日本の首相補佐官が中国共産党に「寄り添って」と発言したことは後世糾弾されるでしょう。ナチ支援者が1945年以後どうなったか、中谷氏は調べたほうがいいと思います。

早く岸田政権が退陣して高市政権になってくれないかなと願う日々です。失望しました。


Emperor Meiji uniform
仇波のしづまりはてて四方のうみ
のどかにならむ世をいのるかな
(明治天皇御製・明治37年)