★ 制裁はすぐできる! 

4月16日の日米首脳会談はガッカリでした。ウイグルで行われている人道犯罪・ジェノサイドに対する日本政府の制裁の発表がありませんでした。「バイデン大統領に花をもたせるため共同記者会見で発表するのでは?」と勝手に期待していたので本当に落胆しました。

いまG7で中国に制裁をかけていないのは日本だけです。数百万人が強制収容所に入れられ殺されレイプされているウイグルの状況は「シンコクなケネン」で終わり程度のことでしょうか? 中国がそんなに怖いのでしょうか? 日本人として恥ずかしいと思いました。
Re-education camp

政府が「外為法に基づく制裁はかけられない」とまぎらわしい説明をするので、中国の人道犯罪に制裁をかける法的根拠がないとの誤解が広がっています。なかには田中均・元外務審議官のように「日本は米・EUのように個人を対象に制裁をかけるのは法的に難しい」とツイッターで平然とウソを拡散している人もいます。

実際には中国高官に簡単に制裁をかけられます

入管法第5条1項14号は「日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある」外国人は日本に入国できないと定めています。これを根拠に「アメリカが制裁対象に指定した中国高官は、人権侵害に使用する監視用機器を日本で調達する可能性が十分ある」として入国拒否できるのです。実現すれば「アメリカの制裁対象=入国拒否」となるので、実質的にEUより強力な制裁となります。しかも外為法に基づく制裁と違って、外務省告示で対象者を指定する必要はないのですぐできます。菅総理が「アメリカの制裁対象者は入国拒否するように」と指示するだけで即日実施可能です。誰を入国させるかは我が国の主権に属する判断であり、国益を害する外国人を入国拒否するのに理由の説明もいりません。

ここでいう「日本国の利益」とは、平成25年に閣議決定された「国家安全保障戦略」で国益として明確化された「自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の支配といった普遍的価値やルールに基づく国際秩序を維持・擁護すること」になります。ナチスドイツや中国のような国に国際ルールや人権を蹂躙させないことは、日本の重要な国益であると決定済みなのです。

監視用機器調達は現実のリスクです。たとえば米制裁対象の中国監視カメラ大手「杭州海康威視数字技術」にソニーとシャープが画像センサーを供給していると一昨年東京新聞が報じました。
リスクの大きさは米英著名企業が入った「ホロコーストに関与した企業リスト」をご覧いただければ一目瞭然だと思います。歴史は繰り返します。
日本企業や日本人が「ジェノサイドの恥ずべき協力者」と糾弾される事態を避けるためにも、弾圧者の入国を断固拒否すべきです。

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この制裁案は松原仁先生が3月23日に提出した「米制裁対象の中国共産党幹部等の上陸拒否に関する質問主意書」で政府に迫ったものです。

残念ながら4月2日に閣議決定された政府答弁書は「御指摘の『米国の制裁対象者』の具体的に意味するところが必ずしも明らかではない」と言いがかりのようなことを書いて逃げました。しかしできないとまでは言っていません。それどころか入国拒否について「個別具体の事情に即して判断する必要があるものと考えている」としていて、アメリカ制裁対象者という事情に即して個別に入国拒否できると受け取れます。

役所が重視する前例の点からも問題ありません。すでに我が国は諸外国と情報交換してテロ組織関係者などを入国拒否しています。アメリカの制裁リストを活用して弾圧者を入国拒否しても何ら問題ないのです。逆にアメリカも日本から提供されたブラックリストをもとに暴力団関係者の入国を拒否しています。政府が「深刻な懸念」を表明した人権侵害について、実行犯を入国させないため諸外国の情報を活用するのはむしろ当然といえます。

松原先生が提唱したアメリカ制裁の事実上の準用が、日本にとって最も現実的な人権侵害への制裁措置です。
外為法による制裁は海外の人権侵害に使えません。また日本版マグニツキー法制定に私は原則賛成ですが、実現の道のりは険しいものがあります。外務省は乗り気ではありませんし、与党内の反対が予想されます。さらに制定したとしても、外務省が高位の中国当局者を独自制裁対象に指定するとは思えません。対北朝鮮の独自制裁対象指定さえ、諸外国に大きく後れをとってきたのが現実です。

現在の国際情勢で「なにもしない」ことは自殺行為です。日米同盟を弱め、自由社会で孤立し、中国の尖閣占領を誘発することにもなりかねません。政府は他に策がないなら「アメリカ制裁対象=自動的に入国拒否」を実施すべきです。

ここで皆様にお願いがあります。ほんの少しだけお時間をください。首相官邸ホームページの「ご意見募集」から、アメリカ制裁対象者を入国拒否するようご意見をお送りいただきたいのです。

次のG7サミットは6月にイギリスで行われます。それまでに何としてでも対中制裁を実現する必要があります。ご協力よろしくお願いいたします。



Emperor Meiji uniform
世の中の事ある時にあひぬとも
おのがつとめむことな忘れそ
(明治天皇御製)