★ 国際政治が動いた! 

1日発売の月刊『正論』11月号に「拉致解決に向けて政治が動いた日」と題した拙文を寄稿しました。一般にはあまり知られていませんが、安倍政権は北朝鮮人道犯罪の刑事責任追及を国連で決議する歴史的業績を残しました。むろん人道犯罪には日本人拉致が含まれています。拉致問題を国際社会の課題にするとともに、国際法廷で裁くべきもっとも重大な犯罪であると正式決定させたのです。

ロビー活動に関わった者として内幕を書きました。ぜひ『正論』をご覧ください。
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拉致について書いた部分をご紹介します。


拉致は国際社会の確定事実に

数百ページの国連調査委員会報告書詳細版は拉致について50ページ近くを割いた。拉致被害者、横田めぐみさんの母、早紀江さんの証言が記載されている。
「成長しためぐみの写真を見たのは初めてでした。私たちはずっと泣きました。写真で(成長した)娘を見るのは初めてで本当に悲しかった。過去20年間あらゆる所を探してついに平壌にいることが分かったのに、本当に申し訳ないと思いました。やっと娘を見つけたのに助け出すことができず、ごめんなさいと言いました」
父の滋さんは娘との再会を果たすことなく本年6月に逝去した。
拉致被害者、増元るみ子さんの弟、照明さんの証言もある。
「家族は病気になりそうなほどるみ子のことを心配しました。どこかで生きていてほしいと毎日毎日祈りました。長いこと悲嘆にくれていましたが、あるときから話すのをやめました。傷口が開き、母が昨日起こったことのように泣きはじめるからです」
るみ子さんの母、信子さんは平成29年12月、「一目会いたい」といいながら90歳の生涯を閉じた。どれほど無念だったことだろう。報告書は日本国内でさえあまり知られていない特定失踪者についても詳しく書いた。特に北朝鮮から写真がもたらされ、松原仁・元拉致担当大臣が「在任中に生存情報に接して拉致と確信した」と証言している藤田進さんについて一パラグラフを割いて記述している。政府認定拉致被害者は全体の一部であると国連が認定したことで、北朝鮮ばかりか日本政府に対しても特定失踪者問題を疎かにできなくなる効果を発揮した。
第三者である国連による事実認定は大きい。筆者は23年頃、前述の藤田進さんの弟の隆司さんらとともに40以上の在京大使館を訪問して拉致について説明したが、多くの国はあくまで「日本側の主張を聞く」という姿勢だった。北朝鮮には北朝鮮の言い分があるだろうと考えていることは雰囲気で感じられた。
ところが国連が認定したことで、国内でいえば裁判所の確定判決のような効果が生じた。北朝鮮の弁明は一顧だにされなくなったばかりか、言い訳をすればするほど不利になるようになった。様々な問題がある国連だが、活用する側に回ればいいのだ。


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★ いまこそ朝鮮総連破産を!


どうすれば拉致被害者を救出できるかについて最後に書きました。

強力な策はいくつもある

拉致問題は膠着状態が続いている。理由は明快で、北朝鮮が解放を決意するレベルにまで圧力が達していないからだ。菅政権は制裁を強化して一刻も早く国民を救出すべきだ。
実は有力な交渉カードとなる制裁策がいくつも残っている。たとえば朝鮮総連への破産申立てだ。松原仁議員が平成31年3月に提出した「朝鮮総連への破産申立てに関する質問主意書」に対して、破産を提唱している長尾敬内閣府大臣政務官が決裁した政府答弁書は一般論と断りながらも「できる」と明確にした。
金正恩は朝鮮総連に破産申立てをされたら拉致被害者を解放せざるを得なくなる。金正日が平成11年4月20日、「朝鮮総連は、父なる首領様の貴重な革命遺産である。我々はどのような方法と手段を使っても、総連を無条件に死守し存続させなければならない」という教示(マルスム)を残したからだ。先代の教示は最高指導者となった金正恩をも拘束するもので、朝鮮総連を「死守し存続」させるために破産を「どのような方法と手段を使っても」撤回させる必要が生じる。拉致被害者を解放することで破産手続中止を日本政府に懇願しなければならなくなるのだ。
実現できるかどうかは菅総理の覚悟と実行力次第である。安倍政権で進めたことを救出につなげてほしい。私たちの同胞が助けを待っている。



ここで皆様にお願いがあります。ほんの少しだけお時間をください。首相官邸ホームページ「ご意見募集」から「朝鮮総連に破産申立てをしてください!」と菅総理宛にメールをお送りいただきたいのです。
http://www.kantei.go.jp/jp/iken.html

同様の意見を内閣官房、財務省、金融庁、外務省にもお送りください。各府省に一斉送信できるページがあります。
https://www.e-gov.go.jp/policy/servlet/Propose


北朝鮮外務省は日本を挑発してきました。9月29日付で「拉致問題は我々の誠意と努力によって既に不可逆的に完全無欠に解決された」「我々を誹謗中傷するなら見過ごすことはできない」と強調する声明を公表しました。

北は私たち日本人がどう反応するか見ています。挑発は重大な結果をもたらすことを思い知らせてやりましょう。破産申立ての話が盛り上がるだけで強烈な圧力になります。よろしくお願いいたします。



Emperor Meiji uniform

神風の伊勢の宮居にとよとしの
初穂ささげむ時ちかづきぬ
(明治天皇御製)