★ 観光による外貨獲得を阻止しよう! 

8月13日に「文化人放送局」に再度出演し、北朝鮮が外貨獲得のため準備を進める国営売春について解説しました。本ブログでは4月20日付記事で解説しています。


いま北朝鮮は追い詰められています。コロナ流入阻止のため国境を閉ざし、貴重な外貨収入源だった中国人観光客までシャットアウトしました。外貨は枯渇する寸前です。

その北朝鮮が起死回生の期待をかけているのがコロナ収束後の外国人観光客誘致です。以前からスキーリゾート、温泉リゾート建設に巨額の資金を投じてきましたが、新たに売春まで準備していることで必死さが分かると思います。コロナ収束後に観光客を呼び込めるかどうかに体制の存続がかかっているのです。

そうしたなか北朝鮮がスキーリゾート・馬息嶺(マシクリョン)ホテルの商標を国際登録していたことが分かりました。世界知的所有権機関(WIPO)のホームページでご覧いただけます。本年4月2日登録。
https://www3.wipo.int/madrid/monitor/en/showData.jsp?ID=ROM.1539515


kimjongunmasik
馬息嶺スキー場を視察し満足気の金正恩(2013年)

特許庁の説明によれば、国際登録とはマドリッド協定議定書(及びマドリッド協定)に基づく商標の国際登録のことでジュネーブにある国連機関のWIPOが国際事務局として管理しています。国際登録は単に国際事務局の管理する登録簿に記録されたことを意味し、直ちに全ての加盟国で保護が約束されるわけではありませんが、指定した国の官庁に指定があった旨の通知が送られ、各国ではそれぞれの法律に基づいて保護できるかどうか所定の審査をした上で、保護ができないときは出願人にその旨の通知をします。

従来商標については、各国の所管官庁に対して直接商標の保護を求める方法しかありませんでした。ところがマドリッド協定議定書に日本が加盟したことにより、各国で異なる手続や言語を経由しなくとも、国際事務局に国際登録をすることによって、それぞれの国に保護を求めることができるようになりました。また、従来は各国別々の更新日管理をしなければならなかったものが、国際登録の更新管理などを通じて一括管理を可能とします。

発展途上国を含めて多くの国がマドリッド協定議定書に加盟するようになったのは最近のことです。北朝鮮のようにGDPが鳥取県程度で、国際法を平然と無視する国が国際登録制度を活用していたのは驚きでした。

私のほうではWIPOのフランシス・ガリ事務局長あてにメールとファックス、航空便で馬息嶺ホテルの国際商標の取消を求める苦情申立を行いました。根拠はぜいたく品の禁輸を定めた国連安保理決議です。馬息嶺ホテルが提供するスキー用具や外国製高級酒は典型的なぜいたく品であり、密輸品を客に出すビジネスなので制裁破りの犯罪です。

国連の機関であるWIPOが国連制裁破りを助長することは許されません。国連憲章第25条は「国際連合加盟国は、安全保障理事会の決定をこの憲章に従って受諾し且つ履行することに同意する」と定めており、安保理決議の決定は留保が許されない強い拘束力を持ちます。安保理が決定した制裁を破るため悪用されているのですから、国際登録はただちに取り消されるべきです。

WIPO
WIPO本部(画像:メタトロン)

ここで皆様にお願いがあります。ほんの少しだけお時間をください。私一人だけでは足りないので苦情申立の助太刀をお願いしたいのです。例文コピペなら1分でできます。

北朝鮮が手間をかけて登録した商標を潰して一矢報いてやりたいものです。その過程で報道を引き出して北朝鮮制裁への理解を広めて、制裁の実効性を高めましょう。

それではよろしくお願いいたします。


★ 8月26日追記

ご協力いただいた皆様、誠にありがとうございます。
WIPO法務部門から私宛に回答が届き、国際登録の抹消は法的枠組み上難しいとのことでした。
しかし北朝鮮が申請しているロシア、中国での法的保護は開始前とのことでしたので、安保理専門家パネルのモーガン委員長に善処を依頼しました。



◆ 送り先

WIPOメール送信フォーム
https://www3.wipo.int/contact/en/area.jsp?area=complaints

「Question」部分に本文をお書きください。「E-mail Address」にあなた様のメールアドレスを入力して、「私はロボットではありません」にチェックを入れ「Submit」をクリックするだけです。



◆ 例文

Dear Director General Francis Gurry,

I am writing to urge WIPO to revoke trademark of Masikryong Hotel of North Korea, MASIKRYONG (WIPO reference: 1353171101, International Registration: 1539515), in light of UN Security Council resolutions.

Paragraph 8 (a)(iii) of Security Council resolution 1718 (2006) prohibited direct or indirect supply, sale or transfer to North Korea of luxury goods, including ski equipment and alcoholic beverages that are served at Masikryong Hotel.
https://www.undocs.org/S/RES/1718%20(2006)
The UN Panel of Experts on North Korea sanctions wrote about Masikryong ski resort in its reports on 2015 and 2017.
https://www.un.org/securitycouncil/sanctions/1718/panel_experts/reports
Voice of America (VOA), radio broadcasting network of the US government, reported on 6 February 2018 that the ski resort "was built with — and is operated using — equipment considered 'luxury goods' prohibited under U.N. sanctions because skiing is a non-essential activity."
https://www.voanews.com/east-asia-pacific/inter-korean-olympic-sports-exchange-could-undermine-spirit-sanctions
The Telegraph and NBC reported that North Korea was using child labour to keep the ski resort open for the country's elite.
https://www.telegraph.co.uk/travel/ski/news/north-korea-ski-resort-kept-open-by-child-labour/


The International Trademark System maintained by WIPO should not be abused to facilitate UN sanctions violations. Thank you for your consideration.

Yours truly,
(あなた様のお名前)



◆ 翻訳文

フランシス・ガリ事務局長
国連安保理決議に鑑み北朝鮮・馬息嶺ホテルの商標MASIKRYONG(登録番号)を取り消すようWIPOに求めます。
安保理決議1718号(2006年採択)パラグラフ8(a)(iii)は北朝鮮に対するぜいたく品の直接又は間接の供給、販売又は移転を禁止しており、これには馬息嶺ホテルで提供されているスキー用具やアルコール飲料が含まれます。
(安保理決議条文URL)
北朝鮮制裁に関する国連専門家パネルは2015年と2017年の報告書で馬息嶺スキーリゾートについて書いています。
(国連安保理HPの専門家パネル報告書ダウンロードページURL)
アメリカ政府の公式ラジオ放送局であるVOAは2018年2月6日、当該スキーリゾートは「スキーは不要不急の活動であることから国連制裁で『ぜいたく品』と定義される物品を用いて作られ、運営されている」と報じました。
(VOA記事URL)
テレグラフ紙とNBCは北朝鮮がエリート層のために当該スキーリゾートの営業を続けるため、児童を搾取していると報じました。
(テレグラフ紙記事URL)
WIPOが運営する国際商標登録制度は国連制裁破りのために悪用されてはなりません。ご検討ありがとうございます。