★ 対北朝鮮国連決議の提出国に復帰を! 

2月13日に増元照明元家族会事務局長、国際人権団体日本代表と3人で外務省を訪ね、人権人道課の南課長に面会して対北朝鮮国連決議の提出国に復帰するよう要請する共同書簡(下にコピー)を手交しました。産経新聞が記事にしています。

https://www.sankei.com/world/news/200219/wor2002190026-n1.html


共同書簡の起案は世界第二位の人権団体とされるヒューマン・ライツ・ウォッチが中心になって行い、第三位とされるFIDHが賛同団体に加わっています。
注目すべきは個人賛同者です。国外では以下の著名人が加わりました。

・ トマス・オヘア・キンタナ国連特別報告者(現職)
・ 李ヤンヒ国連ミャンマー問題特別報告者(現職)
・ デビッド・オルトン卿(イギリス貴族院議員・イギリスの北朝鮮政策に強い影響力を持つ)
・ マルズキ・ダルスマン元国連特別報告者(元国連調査委員会委員)
・ ソニア・ビセルコ元国連調査委員会委員
・ ウィティット・ムンタボーン元国連特別報告者

我が国はこれまで国連人権理事会や国連総会の対北朝鮮非難決議を起案するとともにEU等と共同で提出してきました。起案できるというのは大きな力です。2013年には安倍総理や山谷えり子元拉致担当大臣らが外務省に指示して国連調査委員会(COI)設置文言を入れ、北朝鮮指導部が現に人道犯罪を行っているという国連認定を引き出しました。さらにその後の決議案に「国際刑事裁判所に付託せよ」の文言を入れて採択させました。金正恩は国際法廷に立たせるべき人道犯罪者と国際社会に正式決定させたのです。

ところが昨年、我が国は突如として提出国から外れました。一部官僚が北朝鮮に宥和姿勢を見せれば拉致被害者を解放してもらえると期待したのだと思いますが、何ら結果が出ませんでした。率直に言って騙されて終わったと思います。結論は出たのですから直ちに復帰すべきです。

北朝鮮人道犯罪に甘い顔を見せたとなれば、我が国は金体制崩壊後に激しい糾弾を受けることにもなります。「共犯だ」といわれ何十年も謝罪や賠償を求められるかも知れません。第二次世界大戦後にナチ支持者がどうなったか考えれば分かるとおり、人道犯罪への宥和姿勢は自殺行為です。せっかく安倍政権が北朝鮮人道犯罪を止めるうえで歴史的役割を果たして国際人権団体から絶賛(下記文面にもあります)されたのに、すべて帳消しになってしまいます。歴史に学ぶことが重要だと思います。

unga
国連総会議場(画像:パトリック・グルバン)


ここで皆様にお願いがあります。ほんの少しだけお時間をください。首相官邸ホームページ「ご意見募集」から「対北朝鮮国連決議の起案国・提出国に復帰して強い圧力をかけてください」と安倍総理宛にメールをお送りいただきたいのです。
http://www.kantei.go.jp/jp/iken.html
同様の意見を内閣官房や外務省にもお送りください。各省庁に一斉送信できるページがあります。
https://www.e-gov.go.jp/policy/servlet/Propose


北朝鮮の官僚にとって、金正恩を名指し非難した国連決議案が出るのは恐ろしい事態です。「最高尊厳」を守れなかった責任を問われて極寒の農場で再教育を命じられる可能性があります。金正恩の機嫌が悪ければ銃殺刑です。

敵の弱点を突き、ガンガン脅して拉致被害者を取り返すべきです。犯罪者相手の交渉とはそういうものです。それでは皆様、安倍総理への要請メールをよろしくお願いいたします。




北朝鮮人権問題に関する日本政府の近時の関与低下に関する公開書簡


内閣総理大臣 安倍晋三殿

国連人権理事会の3月の会期に先立ち、54の非政府組織、連合体、および関係する個人を代表し、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)における人権問題について日本政府が最近関与を弱めていることについて、書簡を差し上げる次第です。

まず私どもは、日本政府が、安倍総理のリーダーシップのもと、2013年の北朝鮮人権状況国連調査委員会の設置決議や、その調査結果受入れに関する決議など、国連人権理事会における北朝鮮決議の主提案国として果たしてきた重要な役割を認識しております。調査委員会は、北朝鮮政府が同国民への人道に対する罪(超法規的処刑、拷問、組織的なレイプなどの残虐行為)を多数犯したことに加えて、日本人を含む外国人に対しても過去において拉致などの犯罪を行ったと結論づけました。

日本政府のリーダーシップの後押しを受けて、2014年から2017年にかけて国連安全保障理事会で北朝鮮の人権状況について討論がおこなわれるなど、北朝鮮政府に対する前例のない国際的圧力が維持されました。国連で北朝鮮への注目が集まったことで、北朝鮮での人権侵害と、地域および世界の平和と安全保障との間の密接なつながりも、ある程度焦点化され、北朝鮮政府に対して、国連メカニズムと協力し、拉致問題を含めた人権問題を解決するようにとの圧力が改めてかかりました。こうした事態の前向きな進展は、安倍総理のリーダーシップと日本政府の尽力なしには実現できないものでした。

こうした経緯を踏まえますと、私どもは昨年2019年、日本政府が人権理事会における北朝鮮人権決議案の共同提出を見送るとの決定に大いに当惑しました。菅官房長官は2019年3月、「(2月末の)米朝首脳会談の結果や、拉致問題などを取り巻く諸情勢を総合的に検討した結果」、政府として方針を変更したと述べるとともに、北朝鮮の人権状況の改善を追求していくことは変わらないとも付け加えました。同日付の朝日新聞は、日本政府関係者の発言を引用するかたちで「『人権について国際社会から批判されることを北朝鮮は嫌がっている』と説明。非難決議案の見送りは『北朝鮮の態度を変えるため、試す価値がある』と話した」と報じています。また総理は2019年5月に、北朝鮮の最高指導者の金正恩・朝鮮労働党委員長に前提条件を設けずに直接向き合うと表明し、拉致問題に進展がなければ首脳会談は行わないという従来の方針を転換されました。

北朝鮮政府は、国内人権状況の批判に対し、敵対的な反応をすることが多いことは、私どもも承知しています。しかし、金正恩政権への圧力を和らげても、人権状況の改善や拉致問題の解決が実現する見込みはありません。むしろ白旗は、北朝鮮の虚勢に助け船を出すことになります。代償を払うことなく人権侵害を継続できるというメッセージを送ってしまうのです。

対話と公的な人権批判は排他的な関係にはありません。私どもは、北朝鮮の人権問題を提起し続けることは、日本人拉致問題の解決を進展させるため実際上不可欠だと考えます。国連調査委員会がしたように、拉致を残虐行為と示すことで、日本政府は北朝鮮政府に対し、自国の行為に向き合うよう説得できます。調査委員会報告書に対する北朝鮮政府の反応は、金正恩委員長が自国政府の人権状況の報告にきわめて敏感であること、また同氏に批判を受け止めさせるには、そうした圧力の継続がきわめて重要であることの証左です。対照的に、国際的な圧力が和らいでいることで、北朝鮮政府は、あの劣悪な自国の人権状況を改善しないことで負う政治的コストが緩和されています。

また、国際社会の関心事である朝鮮半島の非核化実現には、人権面での進展が当然必要です。外交政策専門家や宗教指導者、人権活動家がたびたび指摘しているように、人権と武器不拡散への取り組みは密接不可分であるからです。

北朝鮮の人権状況に関する国連特別報告者であるトマス・オヘア・キンタナ氏は2019年10月24日、国連総会で発言し、各国政府に対し、交渉では人権問題を棚上げすることなく、北朝鮮との建設的な対話の道を探ることを求めました。氏は「基本的人権を現在の交渉に統合することは、朝鮮半島とそれを超えた地域に非核化と平和をもたらす、あらゆる合意を持続させるうえできわめて重要である」ことに留意しました。

私どももまったく同意見です。

私どもは安倍総理に対し、近時の方針を修正し、北朝鮮に関する今年の国連人権理事会決議には主提案国として戻るとともに、同国政府との交渉で人権問題にプライオリティを置いて、日本がこれまでとってきた北朝鮮に関する人権重視外交を再び高く掲げるよう、強く要請する次第です。

本件についてご検討いただきますようお願いいたします。また総理スタッフと詳しく協議する場をいただければ幸いです。

敬具


Emperor Meiji uniform
ちはやふる神にちかひてきたひたる
太刀こそ國のまもりとはなれ
(明治天皇御製)