★ 山谷えり子・前拉致大臣の業績

今週日曜日は参議院議員選挙です。私がたいへんお世話になっている山谷えり子先生が、いま日本中を駆けずり回って選挙活動をしていますが、残念なのは水面下の業績が知られていないことです。本人も宣伝しません。

実は山谷先生は、国際政治の流れを変えています。国連調査委員会(COI)設立の仕掛け人であり、金正恩体制崩壊を確実なものにした立役者です。

国連調査委員会の衝撃的な人道犯罪報告書によって、国連総会で「指導部を国際刑事裁判所で裁くべし」という決議が通り、金正恩政権が国際社会に復帰する可能性はゼロになりました。後世の歴史家は、「あれが歴史のターニングポイントだった」と評価すると思いますが、元を作ったのが山谷先生です。山谷先生がいなかったら、委員会さえ設立できていませんでした。

北朝鮮は分かっているようで、国営放送で山谷先生を名指しし、凄まじい罵詈雑言を浴びせました。むろん敵が憤激しているということは、それだけ日本に貢献したということです。敵の評価が一番アテになります(笑)

Yamatani Eriko desk


順を追って説明したいと思います。北朝鮮人権問題のための国連調査委員会を設立しようとロビー活動を始めたのは、著者も加盟する国際NGO連合・ICNKです。むろんアイデア自体は平凡なので、提案したことは評価に値せず、功績があるのは実際に実現させた政治家です。

ICNKは2011年9月に東京で設立総会を開いたとき、当面の目標を国連調査委員会設立にすると決定しました。会議が終わったあとアメリカ人の国際人権団体幹部から、国連の北朝鮮非難決議草案を書いているのが日本外務省なので、「設立を提起できるのは日本だ。日本の皆さんに期待している」と言われました。実現は日本政府にかかっている、ということです。


ただ「期待している」と言われても、当時は民主党政権下です。国際政治を動かすような大きな話が通るはずありません。実際、議員会館に通ってロビー活動に励んでも、まったく動きはありませんでした。外務省高官に面会しても、「総合的に判断します」という決まり文句を告げられただけでした。


そんなときに私たちの提案を真剣に聞き、検討し、勇気をもって取り上げてくれたのが、当時野党議員だった山谷先生や安倍総理、古屋圭司先生でした。これは本当に勇気のある決断だったと思います。ICNKは世界的人権団体や、アメリカ政府と関係の深い団体、ユダヤ系有力団体など約40団体の連合組織です。実態を把握しづらく、その分要望を聞く側からすれば、リスクが高いのです。
もし私が議員秘書だったら、安全策で「よく分からないので様子を見ましょう」と進言していたかも知れません。日本にとって最重要課題はあくまで拉致問題であり、拉致問題にプラスになるかマイナスになるか、いきなり陳情に来られてもすぐに判断できないのです。


山谷先生は精査したうえで、国連調査委員会設立は拉致問題解決に有益と判断し、力強く推し進めてくれました。自民党の政策は、部会や調査会から全会一致で上がって出来ていくので、実力ある議員がよく勉強したうえで熱心に取り組まなければ実現しません。山谷先生の尽力は決定的でした。
さらに山谷先生の政策秘書の速水美智子さんが、拉致問題に熱心なうえ頭脳明晰で、大変よく勉強していて、本当に助かりました。超党派の拉致議連には秘書会まであり、そこでの調整も非常に重要なのです。

実はICNKが議員会館で説明会や記者会見を行うとき、毎回部屋をとってくれたのは山谷先生です。これも大きな支えとなりました。自民党有力議員の集会として議員会館を使ったことが、たいへんな信用になったのです。

415f650c.jpg
ICNK集会で拉致問題解決を訴える山谷先生

その結果、2012年11月に発表された自民党総合政策集に、「国連に拉致問題に関する調査委員会を設立する努力などを通じて国際社会と連携しながら、国家の威信をかけて拉致被害者全員の帰国を実現します」という文言が入り、国連調査委員会設立推進は公約となったのです。発表当日に議員会館事務所で山谷先生からコピーを受け取ったときは、感無量でした。


2012年12月に第二次安倍政権が成立すると、外務省は突如として全力で動き出しました。ジュネーブで各国外交団と折衝している国際人権団体責任者から、日本外交官の熱心な動きが現地で話題になっていると言われました。そして2013年3月に国連人権理事会で、日本はEUと共同で、国連調査委員会設立を採択させました。


採択のあとICNKは、全加盟団体の総意として日本に感謝する声明を発表しました。「日本政府の献身的努力に深く感謝の意を表する。日本は、欧州連合(EU)や韓国・米国を含む他の主要国に対し同委員会の設立支持を促すにあたり、先陣を切る重要な役割を果たした」というものです。また世界的人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチのケネス・ロス代表は、ニューヨーク・タイムズ紙上で安倍政権を絶賛する論文を発表しましたが、その題名は「人権の太陽が昇る(The Sun Rises on Human Rights)」という旭日旗を意識したものでした。国際人権団体がこれほどまで日本を高く評価したのは、過去に例がありません


国連調査委員会が設立翌年の2014年2月、「北朝鮮による組織的、広範かつ重大な人権侵害」が人道に対する罪を構成すると認定した報告書を発表すると、世界各国の北朝鮮に対する見方が一変しました。欧米にはナチの台頭を許してしまった過去があるため、人道犯罪を行っていると認定された政権は、改善を約束したところで決して受け入れられません。当時わずかに残っていた、北朝鮮が核保有国として黙認され、外資を呼び込み経済発展する可能性は、完全に消え去りました。


山谷先生が動いたことで、金正恩政権崩壊への流れが決定的となりました。一度流れが変わると、国際政治はもう後戻りしません。遅かれ早かれ体制崩壊で拉致被害者は救出されますし、核廃棄も実現できるはずです。そのとき最も功績を認められるべきは、帰国した拉致被害者とともにテレビに出て目立つ人でなく、水面下で流れを作った政治家なのです。


ほかにも山谷先生の業績はいろいろあり、書き出したらキリがないので、これで終わりにします。


Yamatani Eriko


★ パキスタン政府から誠実な回答!


さて、前回から皆様とともに、北朝鮮国営・高麗航空の平壌・クウェート便を潰すためロビー活動を行ってきましたが、トランジット先のパキスタンに働きかけたところ、政府からしっかりしたお返事をいただきました。高麗航空を今後歓迎しない方針を固めたようです。実際に6月29日にクウェートを発った高麗航空機は、イスラマバードの国際空港に着陸することなく、平壌に直帰しました。パキスタン政府に感謝です!


これまで高麗航空クウェート便は、行き(JS161便)も帰り(JS162便)もパキスタンの首都イスラマバードのベナジル・ブット国際空港に寄航していました。直近では6月28日にJS161便がイスラマバードに寄航していることを確認しています。この便で使われるツポレフTu-204-300型機は、航続距離がクウェート・平壌間でギリギリなので、途中で給油する必要があるのです。

ところが寄航されるほうのパキスタンは、僅かな売上のため、巨大なリスクを背負い込んでいました。アメリカをはじめ諸外国から、北朝鮮の核拡散・人道犯罪を幇助していると見られる可能性があったのです。自殺行為以外のなにものでもありません。まったく割に合いません

Air_Koryo_Tu-204s
平壌の空港に並ぶ高麗航空機(画像:クレイ・ギリランド)


「これはいけるぞ!」と見た私は、パキスタン首相と各国パキスタン大使館の大使・政務担当者約140人のメールアドレスを調べ、メール同報ソフトに登録しました。そして2回に分け、1件1件相手の名前を入れて(これが重要)、高麗航空拒絶を訴えるメールを送りました。


最初に書いたのは、高麗航空が核関連物資密輸やマネーロンダリング(現金密輸)、奴隷労働者の移動に使われているという事実です。本来ならそれで十分なはずです。北朝鮮による核拡散は、国際社会が直面している重大な脅威で、安保理決議で阻止が定められています。
また、安保理専門家パネル2014年度報告書が、高麗航空が北朝鮮空軍支配下にあることを理由に、給油が制裁破りになる可能性を各国に警告した事実を伝えました。北朝鮮民間航空機への給油自体は制裁破りではありませんが、軍の飛行機だと違反であり、高麗航空は軍の一部なので許されないのです。
さらにパキスタン・北朝鮮間の核開発協力が以前大問題になったことや、北朝鮮がアメリカを先制核攻撃で脅迫したことを書き、ダメ押ししました。

2度目のメールでは、クウェートから高麗航空機が発ったあとに「着陸したら、必ず国連決議が定めた貨物検査を!」と求めました。今年3月に採択された安保理決議2270号のパラグラフ18は、北朝鮮籍航空機で輸送される貨物の検査を義務づけていて、これはトランジットの場合も当てはまります。


House_of_the_Prime_Minister_of_Pakistan_in_Islamabad
パキスタン首相官邸(画像:ヌエヴァ・エシジャ)

返事のメールはすぐにきました。まずクウェートのパキスタン大使館から電話番号を聞かれたあと、ジャカルタの大使館から「本国の関係部署に報告しました」と返信がきました。そのあとジュネーブ国連代表部のウスマン・ジャドゥーン参事官から、本国政府の回答として下記を伝えられました。


「パキスタンは、国連安保理の対北朝鮮制裁に基づく責務を完全に履行しています。パキスタンは対北制裁で禁止された行為が行われないよう、立法上、政令上、法執行上必要な措置をとっています。私どもは朝鮮半島非核化の目標を全面的に支持し、北朝鮮が国際的責務を完全に履行することを求めています。私どもは高麗航空の運航を、安保理決議2270号の規定に反していないか判断する目的で注視しています。安保理対北制裁違反行為を許すことは、パキスタンの政治的・戦略的利益に合致しません。そのような行為が明るみに出たならば、迅速に対処します」



6月29日は面白かったです。全世界の旅客機運航状況が分かるFlight Radar 24 というサイトの地図で、クウェート国際空港を発った高麗航空JS162便の動きをリアルタイムで追っていました。見ているとパキスタン領空に入った後、イスラマバードに向かわず、そのまま中国占領下のウィグル方面に飛び去っていったのです。「やった!」と快哉を叫びました。

JS162便の軌跡は、下記サイト右下のPlayをクリックすると表示されます。燃料はギリギリしかないのに、よく無理して飛んだものだと思います(笑)
https://www.flightradar24.com/data/flights/js162


パキスタンのシャリフ首相とアジズ外務担当首相顧問(外相)、そして外務省東アジア・大洋州局のカジ局長には、メールを送ったあと同じ内容を航空便でも送りました。それが届く遥か前に、迅速に行動したパキスタン政府の決断力は、なかなかのものです。



★ クウェート首長に再度直訴だ!


ここで皆様にお願いがあります。ほんの少しだけお時間をください。いま一度クウェート首長に直訴メールを送って、高麗航空拒絶を訴えていただきたいのです。


例文は、前回より強い内容になっています。安保理決議の貨物検査義務にも言及しました。送り先メールアドレスは首長宮殿のほか、世界各国のクウェート大使館です。日々国際政治を見ているプロの外交官は、「こんなことやっていたらマズいよ。北朝鮮と関わるのはヤバすぎでしょ」と思うはずです。本国政府に、報告のかたちで意見してくれると思います。

それでは皆様、よろしくお願いします。

Amir of Kuwait
クウェート首長シェイク・サバーハ・アル・アハマド・アル・ジャービル・アル・サバーハ殿下



送り先(多数に送っていることが分からないよう、宛名に自分のメールアドレスを入れ、BCCに下記をコピーしてください)
info@da.gov.kw, amirsoffice@da.gov.kw, canberra.sec@mofa.gov.kw, embassy.kwt@skynet.be, info@kuwait-botschaft.de, kuwemath@otenet.gr, kuwaitembassy_jkt@yahoo.com, info@kuwait-embassy.or.jp, marybeth_ortua@hotmail.com, safrku@global.co.za, info@kuwaitmission.ch, ambkoweit-tunis@planet.tn, kuwait_embassy@ukr.net, kuwaity@emirates.net.ae, contact@kuwaitmission.org


例文
件名:Obligations under UNSCR
本文:
His Highness Sheikh Sabah Al Ahmad Al Jaber Al Sabah
Amir of the State of Kuwait
Al Diwan Al Amiri


Your Highness,

North Korea’s flag carrier, Air Koryo, seems to have resumed regular flight services to Kuwait. May I respectfully request that Your Highness instructs your government to act in line with UN Security Council resolutions that prohibit providing services to Air Koryo and oblige UN member states to conduct a thorough search in case they land?

Air Koryo’s Tupolev Tu-204-300 was in Kuwait International Airport on 17 May, 14 and 28 June as reported by US government-funded broadcaster Voice of America, South Korea’s semi-official Yonhap news agency and other media.
http://english.yonhapnews.co.kr/northkorea/2016/06/29/0401000000AEN20160629004800315.html

Air Koryo has been engaged in smuggling of nuclear technology, money laundering and transportation of slave labourers and the UN Security Council Panel of Experts Report 2014 made it clear: “Considering the control over and use by the air force of Air Koryo’s aircraft, the Panel considers that Member States should be aware that providing financial transactions, technical training, advice, services or assistance related to the provision, maintenance or use of Air Koryo’s aircraft could constitute a violation of the embargo on all arms and related materiel as defined by paragraph 9 of resolution 1874 (2009).”
https://www.un.org/sc/suborg/en/sanctions/1718/panel_experts/reports

Paragraph 18 of UNSCR 2270 decided that: “all States shall inspect the cargo within or transiting through their territory, including in their airports, seaports and free trade zones, that has originated in the DPRK, or that is destined for the DPRK”.
http://www.un.org/press/en/2016/sc12267.doc.htm

The North Korean nuclear crisis is getting worse day by day and I am confident that it is not in the interest of Kuwait to be seen as an ally of the pariah state. On 7 March, North Korea’s National Defence Commission threatened the US that it would make a “preemptive and offensive nuclear strike” in response to joint military exercises. North Korea’s KCNA news agency reported on 23 June that their leader Kim Jong Un said after supervising a test launch of an intermediate-range missile that the country now has the capability to attack US interests in the Pacific. Many experts believe that there will be another nuclear test soon.

Thank you for your consideration.

I have the honour to be, Sir, Your Highness’s humble and obedient servant,
(あなた様のお名前)



083dab96.jpg
世の中の事ある時にあひぬとも おのがつとめむことな忘れそ
(明治天皇御製)