★ マレーシアの不可解な北朝鮮政策

在宅ロビー活動にご参加いただいている皆様、寒中お見舞い申し上げます。

昨年一年で、国際社会の北朝鮮認識は大きく変化しました。いま世界のほとんどの国が、北朝鮮で体制転換が必要と考えています(なにしろ国連総会決議が刑事責任追及を求める)。いよいよ金王朝瓦解が近づいてきました。今年こそ我々日本の民間志士が、崩壊の決定打を打ちましょう!

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昨年訪問した南朝皇居跡。苦しい時代に忠節を尽くした先人に思いを馳せる。



ところが北朝鮮は悪運が強いようで、今年から国連安全保障理事会の非常任理事国に、北朝鮮関連決議に反対・棄権するベネズエラ、アンゴラ、マレーシアの3ヶ国が入ってしまいました。安保理は常任理事国5ヶ国のほかに、2年の任期の非常任理事国10ヶ国で構成されますが、誰もが知っている通り、マトモな国だけ理事国になる訳ではありません。なにしろ中国とロシアが常任理事国なのです。

新理事国のうち反米の社会主義国ベネズエラは、最近北朝鮮との関係を深めていて、北朝鮮に不利な決議は全て反対します。実際に昨年の国連総会で、北朝鮮人権状況非難決議に反対票を投じています。むろん拉致問題解決のため尽力した訳でもありませんので、ベネズエラは日本の友好国ではありません。日本を核兵器で脅迫する北朝鮮を支援し、最重要課題である拉致問題解決の足を引っ張る国は、ハッキリ言って敵に近い存在です。そればかりか、北朝鮮支援国は国際社会の敵と言っても過言ではありません。ベネズエラ政府は国際社会を敵に回し、体制崩壊後に北朝鮮国民から糾弾される危険を覚悟してまで、金正恩政権に肩入れすることが国益か、よく考えるべきです。

アンゴラはベネズエラほど北朝鮮と関係が深くありませんが、国連総会の北朝鮮非難決議で棄権しています。安保理でも同じ対応をすると思います。

不可解なのはマレーシアです。マレーシアは北朝鮮・イラン・シリアのような無法国家ではありません。長く権威主義体制でしたが、議会があり、野党もメディアもあり、反共を掲げ、アメリカや日本とも良い関係です。ところがなぜか北朝鮮と親密で、北朝鮮非難決議で棄権していますし、昨年11月には与党UMNOと朝鮮労働党が合意覚書に調印しています。マレーシアは北朝鮮人労働者を鉱山で使っており、昨年鉱山事故で死者が出て外国メディアに批判されたときは、政府高官が開き直った発言をしています。マレーシアは本来北朝鮮と全く相容れない国で、マレーシア人の拉致被害者までいるのに、なぜ暴力団交遊のような行為を続けるのか全く理解に苦しみます。



★ マレーシアに訴える!

マレーシアの暴力団交遊を不思議がっているだけでは何も進みませんので、私のほうで昨年12月に、マレーシア外務省高官70人と国会議員の大部分のメールアドレスを調べ、北朝鮮と距離を置くよう求めるメールを送りました。

2回に分けて送ったメッセージでは、最初にマレーシア人女性拉致事件について書き、日本との共闘を呼びかけました。拉致が頻発した1978年、シンガポールで働いていたマレーシア人女性4人が日本人を名乗る北朝鮮工作員に拉致され、いまだ帰国できていません。マレーシアは日本と同じく、北朝鮮人道犯罪の被害国なのです。マレーシアが先ずすべきことは、北朝鮮と合意覚書を交わすことでも平壌に行ってオベンチャラを言うことでもなく、自国民救出のはずです。事情は日本と同じです。

さらに子供虐殺など北朝鮮による凄まじい人道犯罪や、核兵器で国際社会を脅迫している事実について伝えました。「マレーシアよ、貴国はどっちの側につくのか? 国際社会か、それとも人道犯罪者か」という問いかけです。

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マレーシア議会(画像:アース)


その上で、マレーシアが北朝鮮派遣労働者を使っていることが、マレーシアが批准するILO(国際労働機構)条約や、奴隷制度廃止補足条約、また北朝鮮核開発への資金提供を禁じた国連安保理決議に違反すると訴えました。これは内政干渉でなく、国際法の問題であり、マレーシアは北朝鮮労働者雇用をただちに止める責務があります。北朝鮮の核・ミサイル開発への資金提供は、安保理決議違反であるだけでなく、日本やアメリカへの敵対行為であり、決して許されることではありません。


さらに昨年、マレーシアがマネーロンダリング対策の政府間機関・FATF(金融活動作業部会)のオブザーバー国として迎えられたことを書きました。今後法整備を進めていけば正式メンバー国として認められ、外資誘致に有利になります。ところがそのFATFは、北朝鮮に対して最高の警戒態勢で臨むよう、繰り返し公式声明で求めています。各国に対し、北朝鮮とイランに「対抗措置の適用を要請する」とハッキリ述べています。マレーシアは北朝鮮に対して厳しい姿勢で臨まなければ、今度は逆に自国が「マネーロンダリング対策が不十分な遅れた国」として名指しされ、国際社会で大恥をかくことになります。


共産主義の変型版を信奉する北朝鮮が、マレーシアと全く相容れない国であることについても書きました。十分に理を尽くしたつもりです。



★ 野党議員が取り上げてくださる!


そうしたところ、予想以上に良い反応がありました。大物議員を含む多数の国会議員から、重大な問題なので早急に調査するというお返事をいただきました。また内容は公表できませんが、マレーシア外務省からもしっかりとしたお返事をいただいています。
やはりマレーシアは、良識ある国でした。あとはマレーシア政府の行動に結びつけてもらうだけです。


特に感謝しているのは、野党PKRの中国系議員・魏暁隆(Gooi Hsiao Leung)先生です。党の外交部会長である魏先生は、すぐさま与党の北朝鮮政策を非難する論文をメディア上で発表してくださいました。こちらになります。
http://www.malaysiakini.com/letters/284327
その魏先生の行動を、別のメディアが報じましたので、反響を呼んだことが分かります。
http://www.therakyatpost.com/news/2014/12/23/review-ties-use-labour-force-north-korea-says-pkr-mp/

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魏暁隆先生(画像:議員HP)


見も知らぬ外国人からいきなりメールがきて、ただちに調査し、論文まで発表してくださるマレーシア議員のレベルの高さは、相当なものだと思いました。大体において、票もカネももたらさない外国NGOにどの程度真剣に対応するかで、その国の民度の高さが分かります。マレーシアは中々の国です。



しかし残念ながら、いまだ北朝鮮労働者は追放されていません。マレーシアが北朝鮮政策を変更したという報道も聞きません。今のままなら、安保理で北朝鮮決議案が出たときマレーシアが棄権してしまい、貴重な1票(15票のうち)を失うことになります。


ここであなた様にお願いがあります。ほんの少しだけお時間をください。マレーシアの内務大臣にメールを送って、北朝鮮労働者を追い出すよう求めていただきたいのです。労働者追放は象徴的な意味を持ち、影響力が大きいので、管轄官庁の内務省に求めていきましょう。


例文をコピーするだけなら1分でできます。件名はマレー語で「マレーシア・北朝鮮関係」の意味で、拉致問題についても書きました。それでは皆様、よろしくお願いいたします。



終了したロビー活動。ご協力ありがとうございました。

送り先
終了


例文
件名: Hubungan Malaysia-Korea Utara
本文:
Dear Home Minister Datuk Seri Dr Ahmad Zahid Hamidi,

I am writing to urge Malaysia to stop using North Korean slave labourers in Sarawakian mines in light of international law.

As the US State Department Trafficking in Persons Report 2014 has made it clear, North Korean labourers sent abroad are “subjected to forced labor.”
http://www.state.gov/documents/organization/226847.pdf
It is in violation of ILO’s Forced Labour Convention (1930) , Declaration on Fundamental Principles and Rights at Work (1998) and Supplementary Convention on the Abolition of Slavery (1956) to use North Korean labourers, and payment to North Korea violates UN Security Council resolution 2094 (2013).
Malaysia is currently a member of the UN Security Council and expected to be a role model. Bulgaria, Czech Republic and Romania stopped their employment programmes for North Korean labourers as a matter of legal obligation and Malaysia should follow suit immediately.

I would also like to call on Malaysia to rescue its own citizens abducted by North Korea. According to UN Commission of Inquiry report on human rights in North Korea, on 20 August 1978, four Malaysian women and one Singaporean woman were kidnapped from Singapore. Two North Korean operatives claiming to be Japanese lured five women to a party on a boat and the boat was never seen again (paragraph 972 of the detailed findings report)
http://www.ohchr.org/EN/HRBodies/HRC/CoIDPRK/Pages/ReportoftheCommissionofInquiryDPRK.aspx
The Star reported on 15 December 2005 that US Army deserter Charles Jenkins confirmed he had seen Ms Yeng Yoke Fun in Pyongyang 25 years ago.
http://www.thestar.com.my/story/?file=%2f2005%2f12%2f15%2fnation%2f12876706
The Straits Times reported on 17 December 2005 that the Singapore Police Force termed the case one of their “worst unsolved crimes” and former detective Christopher Sng who investigated the case said “I believe they are alive (in North Korea) ... I hope they come back soon.”

North Korea has also abducted hundreds of Japanese nationals and the Japanese government has repeatedly insisted that it places the highest priority on resolving the abduction issue. The following is a link to seven minute briefing video on abduction issue on the Japanese Government Internet TV.
http://nettv.gov-online.go.jp/eng/prg/prg1786.html
I am hoping that Japan and Malaysia could work together to rescue our countrymen waiting for help in North Korea for decades.

Thank you for your consideration.

Yours truly,
(あなた様のお名前)




Emperor Komei
戈とりて守れ宮人九重の みはしの桜風そよぐなり
(孝明天皇御製)