在宅ロビー活動にご参加いただいている皆様、興味深いニュースが入ってきました! 韓国の朝鮮日報が、中国国営企業が製造した軍用車両数千台が北朝鮮に輸出されたと報じ、受取先が39号室系企業であることを示す動画を公開しました。
国営自動車会社のうちFAW(第一汽車)は、アメリカの制裁(大統領令)の適用を受けるUnited States person に該当する可能性が高いです。そうなると以前ご報告した通り、39号室と取引していた場合は大統領令13551違反となり、20年以下の禁固刑と巨額の罰金刑を科せられます。
本ブログ2011年6月20日付記事
もしも中国大手企業が制裁破りで捜査される事態になれば、北朝鮮と取引している他の中国企業は震え上がりますので、歴史を変えるくらいのインパクトがあります! 北朝鮮を支えているのは中国であり、その手足となっているのが中国企業です。中国企業がリスクが高すぎると判断して北朝鮮から撤退すれば、北朝鮮は立ち行かなくなるのです。
特にアメリカの捜査は、羅先に投資している商地冠群投資有限公司や創立集団に衝撃を与えるはずで、もし投資が中止されれば北朝鮮指導部に大打撃を与えます。
まずは朝鮮日報日本語版の記事を引用します。
北朝鮮、中国から軍用車両数千台を入手
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 2011年8月23日
中国・丹東税関の動画を本紙が入手
「金正恩氏が軍部の歓心を買おうと古い車両を更新」
中国製の軍用トラックや軍用車両3000-4000台が先月北朝鮮入りしたことが、22日に分かった。本紙がこの日、対北消息筋から入手した動画類(写真)によると、先月初めから末ごろにかけて、遼寧省丹東の税関に、中国で生産された国防色の軍用トラックや軍用車両が毎日およそ100台やって来て、通関手続きを済ませ北朝鮮に向かった。
動画は合わせて8本(2-16分)。広さが1万平方メートルある丹東税関の駐車場で、中国製の軍用車両が一般車両と共に通関を待っている様子や、軍用車両をぎっしり積んだキャリアカー(2段式のトレーラータイプ)が、丹東税関に入るため路肩で待機している様子などが映っている。現地・丹東の消息筋は「普段は北朝鮮に入る中国製車両は全て民間用だが、7月は軍用車両が多数入っていった」と語った。
北朝鮮内部の幹部クラスの消息筋は、これらの車両について「金正日(キム・ジョンイル)総書記の三男で後継者の金正恩(キム・ジョンウン)氏が、“7・27戦勝記念日(朝鮮戦争の停戦協定締結日)”を前にして、軍部に与えたプレゼント。1970-80年代に生産された北朝鮮軍の車両は、ひどく老朽化して作戦能力が落ち、将兵の不満も大きい。正恩氏が、軍部の忠誠心を取り付け自分の能力を誇示するため、中国の支援を受けて古い車両を更新した」と語った。各部隊の戦闘指揮用車両として用いられる小型の四輪車は将校に、トラックは兵士たちにそれぞれ支給されたという。
映像を判読した結果、軍用トラックは第一汽車が生産した6トン積みのものと判明した。金総書記は今年5月の訪中で、吉林省長春にある第一汽車の本社を訪問している。また小型の軍用四輪車は、100馬力のエンジンを搭載した排気量2200ccの北京オートモビルワークス(BAW)製ということが分かった。SUV(スポーツタイプ多目的車)やトラック、軍用車両を専門に生産するBAWは、現代自動車の中国法人と合弁関係にある北京汽車の系列企業だ。
動画には、軍用車両のほかにもダンプトラック、大型バス、乗用車、タンク車、農業用機械、重機などさまざまな車両が北朝鮮に向かう場面が映っていた。
これらの車両のフロントガラスには、受取人の名前をハングルで書いた紙が張られており「朝鮮勝利貿易会社」「テソン9貿易」「朝鮮テソン6貿易商社」「朝鮮ナムガン貿易総会社」「朝鮮リョミョン」などの名前が画面を通じ確認できた。このうちテソン貿易は、金総書記の統治資金を管理する労働党39号室の傘下にある貿易会社で、米国政府の制裁リストに載っている。テソン6貿易は主に輸入を、テソン9貿易は中継貿易を担当する。勝利貿易とナムガン貿易は、人民武力部(省に相当)傘下の貿易会社だ。
また動画では、観光バスが丹東税関の駐車場の一角をぎっしり埋めている場面も見られた。深緑と青で塗られた大型バスや灰色のミニバスは、いずれもバス専門メーカー、金竜汽車の製品で、側面にハングルで「朝鮮国際旅行社」とペイントしてあった。
液化天然ガス(LNG)を運ぶタンク車数十台が列を作り、丹東税関にやって来る様子も撮影されていた。「平北44」で始まるナンバーを付けたこれらのタンク車は一汽の製品で、税関の外で少し待機してから税関に入ってきた。これについて、韓国政府の関係者は「北朝鮮は、石油など必要な化石燃料をほとんど全て中国に依存している」と語った。
姜哲煥(カン・チョルファン)記者
李竜洙(イ・ヨンス)記者
39号室の主力商品
記事に出てくる動画は、朝鮮日報英語版で見ることができます。
http://english.chosun.com/site/data/html_dir/2011/08/23/2011082300978.html
確かにデソン貿易と書かれた紙を確認できます。
記者の姜哲煥氏は北朝鮮強制収容所の元収容者で、脱北したあとブッシュ大統領に会っています。下記がホワイトハウスの記事。私も一度お会いしたことがありますが、頭脳明晰な人だと感じました。
http://georgewbush-whitehouse.archives.gov/news/releases/2005/06/images/20050613-1_p45011-005-515h.html
なお39号室について論じたアメリカ陸軍大学の論文「犯罪国家」を、昨年私が翻訳して公開しています。ご興味ある方は下記からダウンロードしてください。
http://sky.geocities.jp/jpkr216/
(「北朝鮮の国際的不法活動を理解するために」と書かれた行をクリック)
★大統領令は厳しい!
ここで大統領令13551についておさらいしたいと思います。
昨年8月にオバマ大統領は、天安(チョナン)号沈没による水兵46人の殺害や、核・ミサイルの実験、また国連決議に違反する数々の犯罪行為を理由として、39号室や偵察総局などを制裁対象に指定しました。これらの組織は、「北朝鮮の武器または関連物資の密輸、贅沢品の密輸入、マネーロンダリング・通貨や商品の偽造・現金や麻薬の密輸などの不法な経済活動」に関わっていると発表されました。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080115-899562/news/20100831-OYT1T00382.htm
http://www.fas.org/irp/offdocs/eo/eo-13551.pdf
大統領令はUnited States person(アメリカ人やアメリカ企業など)に、制裁対象の資産を凍結せよと命じており、あらゆる取引を禁じています。罰則は「20年以下の禁固もしくは100万ドル以下の罰金、25万ドル以下の民事制裁金または当該取引の2倍の額の行政支払命令、またはこれらの併科」と厳しいものです。
http://www.treasury.gov/resource-center/sanctions/Programs/Documents/nkorea.pdf
さらに昨年11月には、朝鮮大聖(デソン)貿易総会社と朝鮮大聖銀行が、39号室傘下であるとして制裁対象に追加されました。この朝鮮大聖貿易総会社こそ、記事に出てくる「テソン貿易」です。財務省のレビー次官(当時)は「朝鮮大聖銀行と朝鮮大聖貿易総会社は、北朝鮮の不法かつ危険な活動を支える39号室金融ネットワークの中心的存在だ」と明言しています。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/america/464850/
http://www.treasury.gov/press-center/press-releases/Pages/tg962.aspx
ここで問題になるのが、適用対象であるUnited States person の定義です。
これについて大統領令は「あらゆる米国市民、永住権取得外国人、米国もしくは米国内の法律で組織された法人(外国支店含む)、または米国内にいるすべての人」と定めています。この定義は税法よりはるかに範囲が広く、安全保障のためなら幅広く解釈するという意思が伝わってきます。
さて、記事にある中国国営企業はUnited States person と言えるでしょうか? 少なくともFAW(第一汽車)は間違いないと私は考えます。
FAWはミシガン州にFAWインターナショナルという関連会社を持っています。FAW中国本社の意を受けて動く法人がアメリカ法で設立されアメリカで活動していますので、FAW全体がUnited States person と解釈されるのが相当です。
またFAWはGMと合弁企業を経営していますので、大勢の社員がアメリカに業務目的で滞在していたはずです。「米国内にいるすべての人」がUnited States person と定義されていますので、業務目的で社員を滞在させた法人は全体がUnited States person と解釈されるのが相当です。
法人の一部分が行う行為は全体の責任となり、一部分が大統領令の適用を受ければ全体が適用を受けるのは当然です。痴漢の言い訳じゃあるまい、「あれは手が勝手にやったこと」は通用しないのです。
それにアメリカは安全保障が絡むと、法を柔軟に解釈する傾向があります。例えば、水責めは「拷問」でないというのがアメリカ政府の公式見解です。北朝鮮を幇助するような企業は、ほんの少しでも解釈の余地があればUnited States person と判断されるのです。
★核の惨禍を繰り返させない!
私のほうで早速、ホワイトハウス国家安全保障会議のラッセル・アジア部長、財務省担当部署のズビン局長、国務省のアインホーン調整官、また国連制裁決議1874専門家パネルのコムラス委員に、FAWへの捜査を求めるファックスを送りました。また過去に返事をくれたジョセフ・ナイ博士とアーミテージさんにも、同様のメールを送りました。
さらにアメリカ上院議員全員、下院有力者と下院外交委員会所属議員全員の157人に、航空便で訴えの手紙を送りました。いつも手紙をポストに投函するとき、「国際政治が動きますように!」と靖国神社に祈っています。
それからアメリカの有力ユダヤ人団体にも働きかけを依頼しましたが、さっそく詳しく尋ねる返信をいただきました。動いてくれそうです。
実は8月末に、北朝鮮とイランの核技術協力が今年に入って緊密化し、北朝鮮が核関連ソフトを提供したというニュースが流れました。下記はイスラエルの新聞・ハアレツ紙の記事。
http://www.haaretz.com/news/middle-east/report-north-korea-sent-nuclear-software-to-iran-1.380409
ローマ軍に包囲されたユダヤ人が2年近く立てこもったマサダ
西暦73年に960人が壮絶な自決を遂げる
もし北朝鮮製、もしくは北朝鮮技術による核兵器が実際に使われるとしたら、もっとも可能性が高いのはイスラエルです。北朝鮮はシリアにも核施設を作りましたし、イスラエルを狙うハマスやヒズボラに武器を供給しています。
広島、長崎の大虐殺が繰り返されようとしています! 下記は広島、長崎の犠牲者の写真。たいへんショッキングなものです。
http://www.mctv.ne.jp/~bigapple/
私たちは核の惨禍を体験した国として、北朝鮮が核で日本を脅かすことも、イスラエルで何十万人もの無辜の人が殺されることも、絶対に許すことはできません! 世界中に手を回し、北朝鮮を徹底的に追い込み、何としてでも核を廃棄させましょう!
原爆投下6週間後の長崎の様子
★大統領に直訴だ!
ここで皆様にお願いがあります。ほんの数分だけお時間をいただけないでしょうか?
オバマ大統領に、中国国営企業の制裁破り疑惑を捜査するよう直訴していただきたいのです。
いまこの瞬間も、私たちの同胞である拉致被害者が、一日千秋の思いで助けを待っています。ありとあらゆる手を尽くして、北朝鮮に圧力をかけましょう。よろしくお願いいたします。
送り先
ホワイトハウス入力フォーム
http://www.whitehouse.gov/contact
「★Zip」については、ワシントンDC日本大使館のZipである20008を入力されるといいでしょう。
「★Subject」については、下から4番目の「Help With A Federal Agency」 を選ばれたらいいと思います。
左下赤枠の「Type the two words:」部分は、すぐ上に表示された2つの単語を入力してください。
例文
Dear President Obama,
I am writing to respectfully request that you order an investigation into allegations that China’s state-owned car manufacturers have traded with North Korea’s Office 39 in violation of Executive Order 13551.
http://english.chosun.com/site/data/html_dir/2011/08/23/2011082300978.html
Reports from the UN Panel of Experts and the Congressional Research Service both blame
http://www.reuters.com/article/2011/08/24/us-nuclear-northkorea-iran-idUSTRE77N2FZ20110824
Thank you for your consideration.
訳文
親愛なるオバマ大統領
中国の国営自動車会社が、大統領令13551に違反して北朝鮮39号室と取引した疑惑について、捜査を命じてくださいますよう謹んでお願い申し上げます。
朝鮮日報記事のURL
国連専門家パネルおよび議会調査局の報告書はいずれも、中国が国連制裁に違反して北朝鮮政権を援助していると非難しています。また最近、北朝鮮がイランに核開発用ソフトを提供したという報道がなされました。いまこそ中国に警告すべきだと思います。
イランとの協力を報じたロイターのURL
ご検討ありがとうございます。
それでは皆様、いますぐお願いします。
北朝鮮を支える中国を、ビシッと締めてもらいましょう!